気に入った水晶に出会ってからのこと。

- Category - 誕生石の思い出

キラキラ光るものが大好きで、祖父のコレクションのクリスタルガラスの小物を眺めては

うっとりしているような子供でした。

宝石店のチラシが届くと床に並べて眺めたり切り抜いてみたりと楽しんでいて、

プラスチック製のおもちゃや着せ替え人形などはあまり欲しがらず、

両親は変わった子供だと心配だったようです。

 

小学校に入学すると本が好きなこともあって図書室に通うようになり、

ある日司書の先生が光るものが好きだと言った私の話を聞いて

鉱物図鑑を勧めてくれてからは鉱物の虜となりました。

宝石店のチラシで見るようなカッティングされて強い輝きを放っている宝石が

もとはこんなにゴツゴツしたものだったのが意外だったし、

宝飾品になれるのはほんの一握りだからこそあれほど高価なんだと納得しました。

 

そして、鉱物という磨かれる前の宝石の姿を知ったら、

自分の好みは完璧に磨かれたものではなく

岩からそのまま削り出されたような自然な感じのするものだという事に気が付きました。

 

鉱物図鑑を嬉しそうに眺める私に母は理解も興味も示さずに変わった子だと諦めたようですが、

幸いなことに父は庭石を集めたり河原で綺麗な石を見つけることが好きだったので

よく私を山や河原へ連れて行ってくれました。

 

河原の石の中には割れ目に小さな水晶がびっしり生えているものもあり、

そういった石を見つけるとその場で二人で観察して写真を撮り、元に戻すということをよくしていました。

 

思春期を迎えて周囲の友達がおしゃれや恋愛に大忙しなのに、

相変わらず鉱物好きでダサいままの私は周囲から完全に浮いてしまい、

いじめられこそしませんがなんとなく馬鹿にしてもいい相手のように扱われるようになってしまって

毎日つまらなく思っていたところ、気に入った水晶に出会ったことで一変したという出来事がありました。

 

夏の家族旅行で山梨に行ったとき、私の鉱物好きを慮って父が昇仙峡へと連れて行ってくれたのです。

昇仙峡は、昔は水晶の産地だったという事もあり

お土産屋さんには食品のほかに水晶細工や薄くスライスされた

メノウ・岩を半分に割った中に紫水晶がびっしり生えている豪快な置物などが売られていました。

 

私にとっては夢のような場所でしたが、その中で一つどうしても欲しくなった水晶がありました。

加工されてはおらず結晶のままで、親指くらいの大きさのものでした。

滅多に欲しいものをねだらない私に驚いた母が買ってくれたので、

手縫いの小さな袋に大事にしまっていつも身に着けていたら

いつも私を馬鹿にしてくる人たちの態度が普通と言える程度になってきました。

 

友達ともいえる間柄になってからどうして仲良くしてくれるようになったのかと聞いたら、

今までのじめじめした暗い感じが薄くなって明るくなったからという答えが返ってきました。

水晶のパワーに何かあるのかと調べたら、幸運を呼ぶというものがあったのでそれかもしれません。

また、水晶を持ち出してから「私にはお気に入りの綺麗な宝物がある」

という心の支えができたことが大きいと思います。

この水晶は10年以上たった今も大事にしています。



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